能楽夜ばなしⅡ 2025 年10月15日更新 鬼王団三郎のその後

能楽夜ばなしⅡ

公演案内ページを作りました。シテ以外にも全てはありませんが、感想などコメントします。随時削除更新して過去コメントはアーカイブの方に移動します。

鬼王 団三郎のその後

九皐会10月定例公演 能 夜討曽我の団三郎役で出演させていただきました。ご来場ありがとうございました。

(公演写真は、九皐会のXのツイートをご覧ください)


この能に登場した曽我兄弟に仕えた鬼王団三郎兄弟について、千葉県の匝瑳市(そうさし)のホームページに、詳しくありますが、この鬼団兄弟の父は、頼朝の父、源義朝に仕えた鬼王七郎左衛門という人で、先の平治の乱に破れたのち、千葉の匝瑳市山桑に逃れた。その後、二人の息子兄弟は伊豆の川津三郎こと伊藤祐泰に仕え、その子息、後に曽我と名乗る事になる十郎、五郎兄弟を守ったとあります。

能の台本には、詳しい説明は省かれていますが、兄弟の守役として幼少より共に過ごした郎党でした。


能でも、比較的年長の演者が鬼団の役を演じる事が多いのは、これに倣っての事かと思います。


やがて曽我兄弟の実の父、川津三郎(伊藤祐泰)は、伊藤一族の所領争いがきっかけで工藤祐経方に襲われて死亡する。

その後、祐泰の妻(十郎五郎の母)が、曽我祐信家に嫁いだ為、苗字が代わり曽我兄弟となって、実父、祐泰(川津三郎)の仇討ちをするわけです。この時代の人物、似た名前が多くてこんがらがりますね。


能にも描かれた通り、鬼王団三郎兄弟は、夜討に参加せず、形見の品を持ち帰るわけですが、その後、曽我兄弟は、仇討ちを成し遂げて亡くなり、伝承によれば、その遺骨を鬼団兄弟が千葉に持ち帰り葬ったとあります。能の曽我物は、何度もさせていただいたので、一度訪れてみたい史跡です。


※なお、曽我兄弟の墓の伝承地は、他にもあって、調べると興味深いです。


曽我兄弟が生まれ育った河津桜で有名な伊豆の河津は、社中の合宿で6年前に行っています。ここには河津八幡神社があって、祐泰や曽我兄弟も祀られいます。皆で境内で小袖曽我を歌った記憶があります。プロレスのジャイアント馬場選手の河津落としは(元は相撲の決め技)は、曽我兄弟の父、河津三郎から来ているので、皆でモノマネしましたね。

ここも良いところです。機会があったらお訪ね下さい。



さて、今月は催しが多いですが、一般公演ですと鎌倉能舞台さんの鈴木啓吾君シテの楊貴妃の地頭、永島充君の野宮の後見に入ります。


また、来月はじめは、矢来能楽堂で安達原白頭のシテを勤めさせていただきます。

(こちらはチケット完売との事。ありがとうございます)


安達原は、通常ですと前半の女の役は、中年の女性でやるのですが、この時は、黒鬘の髪で後場の鬼もその髪で登場するのが普通です。

今回は、白頭という小書演出ですので、後場は白い頭の鬼となり、前場も年長けた女の姿になって、昔話に出てくるようなイメージに近くなります。

お楽しみ下さい。


(リンク先クリック)
チケット完売とのこと。ありがとうございます。

有名な昔話 「安達ヶ原の鬼婆」の伝説を能劇化した作品。

鬼物のジャンルの作品で、最後は山伏と鬼との対決が、わかり易い物語。しかし、前半は女の孤独と苦しみが垣間見えて、奥が深い作品。今回は「はじめて矢来」の観易い演出で上演予定。













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