能楽夜ばなしⅡ 2025 年 4月20日更新 鎌倉能舞台 熊野 ゆや 所沢ミューズ 二人静 ふたりしずか 公演情報

能楽夜ばなしⅡ

公演案内ページを作りました。シテ以外にも全てはありませんが、感想などコメントします。随時削除更新して過去コメントはアーカイブの方に移動します。


二月ぶりの更新です。
大変ご無沙汰しました。
実は、2月末に自宅の階段で転び頭を打ち、3月の定期公演は休演しました。幸い命には別状なかったのですが、包帯がとれず、その時は、舞台出演を控えました。

その節は医療関係者の方には大変お世話になりました。このブログを見ることはきっとないと思いますが、皆さんに救われました。この場を借りて心よりお礼申し上げます。誠に有難うございました。

また関係者をはじめ、多くの方に大変ご心配いただき、誠にありがとうございました。
体の方は異常はないようで、その後の舞台出演や、稽古やトレーニングはずっとしていて、しっかり食べているので、その甲斐あって、体の血も戻り、怪我の前より筋肉もつき元気になりました。
傷の方は、落ち着くのにもう少しかかると(年相応に)医師のお話でしたが、それはゆっくり体に任せて、今後は舞台に専念したいと思います。(と、ここまでがブログ休止中のお話。3月中頃から舞台出演していたので、気が付いた人は少ないかもしれません)

心境の変化は、それなりにありまして、ともかくも足元はとっても大事ね。というわけで目の前の事に無理せず、ひとつひとつ集中しています。

さて、
鎌倉能舞台さんで私がシテを勤めさせていただきます「熊野 ゆや」まで、10日と迫りました。4月29日公演。

「熊野松風は米の飯」と古来いわれてきた名曲中の名曲。

やがて散りゆく平家一門のその全盛の都を舞台にした花見の日を描いた物語。
国許に残した危篤の母を思う美しい女性(熊野)は、故郷からの母の使いが何度も来て、帰りたくて仕方がないのに、平宗盛はそれを許さず花見へと熊野を連れ出します。
この時乗るのが、御所車(写真)を見立てた大道具の簡略化した作り物。能の「作り物」の中でも華やかなもので、これ、毎回その時に何時間もかけて作る手間のかかるものです。
舞台上では、実際には牛はいないし、車は自動で動かないので、観客が京都市中を動いているつもりになって想像しながら観るという演出。
華やかな都の景観を地謡が謡い、対象的に、危篤の母を思い、心ここにあらずの熊野の心情を描きます。
なんといっても熊野という曲は、若い美しいシテの憂いた感じが艶っぽい風情がある作品で、しかも生きている人間を描く現在能なので、現代劇に通じる展開のわかり易さテンポの良さがあって、面白い作品です。女性だけでなく、多くの男性陣にも是非見て欲しい思います。

春爛漫の都をよそに母を心配しながら同行する熊野の心模様が上手く出せればと思います。
果たして熊野は、桜が散る前に無事に母の待つ国許に帰れるのか。

三島由紀夫氏が近代能楽集に取り上げた作品でもあります。

今回は小書演出が三つ付いての上演です。
読み継ぎというのは、母からの手紙を、平の宗盛と一緒に読み継ぎながら読み歌う演出。
村雨留めは、熊野が宴席で舞を舞っていると、にわかに村雨が降り、花を散らしていまうという演出。
散る花は、まるで母の命のようで、熊野の心が乱れるのですね。
そして、墨継は、熊野が和歌を詠む下りの演出。
どれも、通常の演出よりも、より芝居かかると言いますか、物語のコントラストを際立たせるような演出かと思います。
演出が変わると、演奏も変わり、そこも見どころ聴きどことになります。

春の名曲の、ひと味違う熊野をお楽しみ下さい。

この日の午前の部は、中森健之介君の杜若。
これも伊勢物語をテーマにした名曲ですね。
どちらも良い曲なので、両方見れる方は、大仏と長谷の間の表通りから、一本裏に入ったところにもお店があるので、ランチを調べて行くといいですよ。
ゴールデンウイークなので、鎌倉の賑わいを楽しみながら能も見ていただけたらと思います。宜しくお願いします。


この鎌倉能舞台さんの会場は、能楽堂のように大きくはないのですが、字幕が演能中に横の大画面に出て大変わかり易く鑑賞出来ます。開演前の解説もあり、舞台を囲むような椅子席で、最前列は、本当に舞台に手が届く目の前。
演者を最も近く観ることの出来る能舞台だと思います。
能楽堂とは違う雰囲気の能舞台をお楽しみください。


長谷寺や、鎌倉大仏、鎌倉文学館も近いので、観光とセットで来ると一日楽しいです。
新宿から新宿湘南ラインに乗ると、60分で鎌倉駅。
東京駅から横須賀線でも60分。
湘南新宿ラインは、行きも帰りも、最前方車両が比較的空いてます。


鎌倉駅からは、江ノ電に乗るのも楽しいです。
江ノ電3駅目の長谷駅から徒歩7分です。

鎌倉駅からタクシーで直接舞台まで千円ほど(江ノ電側の小さい改札口前から乗るとよいです)。

鎌倉駅から徒歩で30分位。トレーニングを兼ねて歩く演者もいます。

北鎌倉や鶴岡八幡散歩とセットも楽しいです。

是非、一度お越し下さいませ。


チケットのお求めは、鎌倉能舞台さんまでお願いします。
チケット売り出してるそうです。指定席がおすすめです。





ミューズ公演のお知らせ
さて、チケット発売初日から問い合わせが多い、所沢ミューズさんの毎年恒例の人気公演。
はや一階席はだいぶ埋まったそうなので、良い席はどうぞお早めに。ミューページリンク

今年は、ご覧の通り、二人静(ふたりしずか ) 
「静御前の愛と苦悩」というサブタイトルがついています。

例によりまして、はじめて能楽鑑賞される方も楽しめる当日解説や演者達とのトークやミニセッションをしてから、じっくり二人静をご覧いただきます。
私もこの曲は、師匠をはじめとして、いろいろな方とさせていただきましたが、今回は九皐会の女性能楽師 新井麻衣子さんと初のペアを組みます。本当の女性と舞うとどうなるのか楽しみです。美しい舞が二人で舞えたらいいなと思います。
乞うご期待です。































































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