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能楽記事アーカイブ

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アーカイブページです。過去記事はこちらからどうぞ。 2025,4月末 大変ご無沙汰しました。 実は、2月末に自宅の階段で転び頭を打ち、3月の定期公演は休演しました。幸い命には別状なかったのですが、包帯がとれず、その時は、舞台出演を控えました。 その節は医療関係者の方には大変お世話になりました。このブログを見ることはきっとないと思いますが、皆さんに救われました。この場を借りて心よりお礼申し上げます。誠に有難うございました。 また関係者をはじめ、多くの方に大変ご心配いただき、誠にありがとうございました。 体の方は異常はないようで、その後の舞台出演や、稽古やトレーニングはずっとしていて、しっかり食べているので、その甲斐あって、体の血も戻り、怪我の前より筋肉もつき元気になりました。 傷の方は、落ち着くのにもう少しかかると(年相応に)医師のお話でしたが、 それはゆっくり体に任せて、今後は舞台に専念したいと思います。(と、ここまでがブログ休止中のお話。3月中頃から舞台出演していたので、気が付いた人は少ないかもしれません) 心境の変化は、それなりにありまして、ともかくも足元はとっても大事ね。というわけで目の前の事に無理せず、ひとつひとつ集中しています。 さて、 鎌倉能舞台さんで私がシテを勤めさせていただきます「熊野 ゆや」まで、10日と迫りました。4月29日公演。 「熊野松風は米の飯」と古来いわれてきた名曲中の名曲。 やがて散りゆく平家一門のその全盛の都を舞台にした花見の日を描いた物語。 国許に残した危篤の母を思う美しい女性(熊野)は、故郷からの母の使いが何度も来て、帰りたくて仕方がないのに、平宗盛はそれを許さず花見へと熊野を連れ出します。 この時乗るのが、御所車(写真)を見立てた大道具の簡略化した作り物。能の「作り物」の中でも華やかなもので、これ、毎回その時に何時間もかけて作る手間のかかるものです。 舞台上では、実際には牛はいないし、車は自動で動かないので、観客が京都市中を動いているつもりになって想像しながら観るという演出。 華やかな都の景観を地謡が謡い、対象的に、危篤の母を思い、心ここにあらずの熊野の心情を描きます。 なんといっても熊野という曲は、若い美しいシテの憂いた感じが艶っぽい風情がある作品で、しかも生きている人間を描く現在能なので、現代劇に通じる展開のわかり易さテンポ...